妊娠・出産と歯科

妊娠・出産は人生の一大イベントです。

この時、歯科的トラブルを抱えていないことは、ご本人のみならず生まれてくる赤ん坊にとっても重要なことなのです。

ここでは、妊娠・出産にまつわる歯科のトピックスをお伝えしたいと思います。

①妊娠時の歯科治療について

受精直後から3か月の間は、おなかの胎児の様々な器官が分化・形成される期間です。

この時、母体に強いストレスがかかってしまった場合、この重要な時期の胎児の生育に重大な影響を与える可能性は、比較的想像しやすいかもしれません。胎児が成長する栄養等は、すべて母体から提供されるので、ストレス等による体内の変化もほぼ直接、影響を受けます。

歯科治療というものは、残念ながら多くの方にとって大なり小なりストレスを感じるものです。そのため、妊娠中の歯科治療については、安定期になる妊娠3か月以降に行うのが望ましいとされています。

ところが、ものすごい激痛などのトラブルの場合、対応しないわけにはゆかず、応急処置でも治療を行うことになります。このことは、胎児にとってのリスクになります。ただし、痛みがあった場合は我慢することは持続的なストレスを抱えることになります。何かあったときは、すぐに相談していただくのが良いでしょう。

このようなことが起きないように、歯科的なトラブルや、治療が必要な所は妊娠前に治療を済ませて、上記のようなトラブルを予防することが大事です。

②妊娠性歯肉炎

それまでなんともなかった人が、妊娠すると歯と歯の間のお肉などが少し腫れてくることがあります。これは歯周病の軽度の症状で、妊娠性歯肉炎といわれています。

原因は、妊娠によって体内の女性ホルモンが増加し、このホルモンで活性化される(=餌になる)細菌が増殖するためです。

妊娠時の女性ホルモンの増加は自然なことですので、この場合は歯と歯ぐきの境目をしっかりブラッシングして、汚れと細菌を減らすのが一番です。普段からブラッシングの習慣がついていると安心です。

妊娠後もブラッシングが悪い状態である、あるいは、磨く習慣があったけれども、妊娠後の環境の問題で磨く暇がなくなってしまった、などの場合は歯周病の進行に発展する場合がありますので注意が必要です。

③低出生体重児や早産について

お母さんの歯周病が進行しているとき、いわゆる未熟児や、早産が起きやすいという報告があります。進行してしまうと効果的な治療が難しくなる歯周病は予防が一番です。そのためには、何も問題が起きていない普段からのお口のケアの習慣が重要です。

④新生児のお口の中

生まれたばかりの赤ん坊は、お口の中は無菌状態だと言われています。しかし、成長の過程において、腸の中に細菌叢といわれる微生物の生育分布が広がってある程度安定するのと同じように、お口の中にも口腔内細菌叢という、微生物のすみわけが起こってきます。母とこどもとは、お口の中の細菌については生まれてきた後に母子感染(垂直感染、母から子への最近の受け渡し)が起こります。お母さんのお口の中の状態は、こどもにとってもとても重要なことなのです。

⑤番外編:小さいこどもとジュース

こどもは機嫌が悪かったり、訴えがあるとすぐ泣きます。砂糖の入ったジュースなどは脳がおいしいと感じるのか、与えるとこどもは静かになります。歯科で有名な話では、これを繰り返すと、こどもの歯(=乳歯)が歯の根元の所を取り囲むようにぼろぼろに溶けている状態(ランパント カリエス)になることがあります。これは、こどもの顎の発育や顔貌、永久歯の発育に重大な影響を与えます。

砂糖を与えるとこどもは静かになりますが、リスクは非常に高いです。むし歯原因菌の大好物ですので、なるべく与えず、与えたらなるべくすぐに歯磨きをする習慣を持ちましょう。

顎関節とかみしめのお話

顎関節症という病名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

顎関節とは、両耳の穴の少し前方にあり、下あごの動きをコントロールしています。

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耳の穴の少し前を指で触りながら口を開閉すると、関節(下顎頭)が動いているのがわかると思います。そして大きく口を開けると、顎関節は大きく動いていることが分かります。

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このとき、顎関節の頭は「関節円板」という座布団のようなものを介して関節内から滑り出します。

余談ですが、あまりにも滑り出しすぎると、いわゆる「アゴがはずれた」状態、顎関節脱臼になります。

顎関節の頭は通常は常に座布団(関節円板)に乗っています。

顎関節症はいくつかタイプがあるのですが、最も典型的な例としてクリッキング音(ポキッ、やカコッ、など)を発するものがあります。具体的には、口を開けたり閉じたりするたびに(あるいは開けた時だけ、または閉じたときだけ)音が鳴って顎関節付近に軽い衝撃が伝わります。

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これは、顎関節の頭が座布団(関節円板)にきちんと乗れておらず、頭が座布団に乗ったり落ちたりする度に、音が鳴っている状態です。

この状態はまだ軽症で、重症化すると顎関節の頭が座布団にまったく乗れなくなり、その結果口が少ししか開かなくなります。

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このようなことが起こる原因の一つに「かみしめ癖」があります。

人はかみしめることで物事に集中したり、ストレスに抵抗して様々な力を上昇させることができますが、その代償の過剰な仕事は、歯を支える歯根膜や、あごの関節周囲などすべてお口の周りに跳ね返ってきます。かみしめて力を込めた状態では、それらの部分に血液があまり供給されず、元気がなくなってしぼんでしまいます。これは歯を失う原因にも大きく関与してきます。

それと同時に関節円板の位置が通常の位置からずれるようになり、動きが悪くなったり、全く動かなくなったりすることで顎関節症を発症します。

関節円板を座布団に例えましたが、実際には座布団のように単独で存在するわけではなく、筋肉や線維組織など様々なものがお隣同士で連なっています。体はどこでもそうですが、適度に動かして血のめぐりをよくすることが一番です。

顎関節症を予防したり、症状を緩和するために上下の歯を接触させ続ける癖をなくす、かみしめるときに働く筋肉をストレッチする、などの方法があります。

状況によって、セルフケアで症状が軽くなることもあり、マウスピースのような装置を利用することをすすめるケースもあります。

心配がありましたら、お気軽にご相談ください!

歯の根の治療について

根の治療とは、あれはいったい何をやっているのか!?

「だいぶむし歯が進んでしまっていますね。歯の神経を取りましょう」

むし歯の治療を多く受けている方は経験があると思われる「歯の神経をとる」「歯の根の治療をする」、これらの治療は何をやっているのでしょう?

 

◎歯の中は空洞になっている

歯の中は空洞になっており、歯の根っこの先端から歯の中の空洞に向かって神経の末梢と血管が入ってきています。空洞には柔らかい線維性の組織などのほかに歯の内側の層を作る細胞「象牙芽細胞」が存在し、いわば歯の管理人のような仕事をしています。

むし歯が進行してくると、この空洞に様々な刺激が伝わりやすくなります。歯の中に来ている神経が伝わってきた刺激を感知すると、脳はこの刺激を全て「痛い!」と感じます。この刺激から守るために、象牙芽細胞は「象牙質」という歯の内側の層を付け足して歯の厚みを作り、刺激が伝わりにくいように対抗します。

 

◎なぜ歯の神経をとるのか?

このようにして刺激だけに抵抗しているうちは比較的安全ですが、①刺激があまりに大きいとき、②むし歯の原因である細菌が直接空洞に乗り込んできたとき、は痛みがどうにも止まらず、治まらなくなってしまいます。いわゆる「急性歯髄炎」の状態です。こうなると歯の空洞に存在する細胞を生かしたままにすることは極めて難しく、痛みをとるために歯の中の組織をすべて取り除きます。こうして組織を取り除いた後に、細菌を可能な限り取り除き、清潔にして代わりとなるものを詰め込んで細菌が入り込まないようにします。これが根の治療その1「抜髄」(歯の神経を取り除いた後に、別のもので詰め物をする)です。

 

◎神経の治療をしなくても歯の痛みはなくなる

実はこのとき、神経の治療をしなくても、しばらくすると歯の痛みが治まってくることがあります。これはむし歯が治ったわけではなく、痛みを感じていた神経が単に死んでしまい、脳が痛みを感じなくなったためです。

現実には歯の空洞に管理人もいなくなり、むし歯菌にとっての楽園が出来上がっています。こうなると歯の内側からむし歯は進行し、また同時にむし歯菌は歯の根の先端から外へ(つまり、歯を支えている骨のほうへ)あふれ出ようとします。

こうなると歯の根の先に膿(う)みを作るようになり、放置すると歯を残すにはかなり苦しい状況へと進行していきます。この時も痛みを感じることが多いですが、困ったことにむし歯の時のズキズキする痛みほどは痛まないことが多いようです。

◎放置した場合や再治療のほうが難しい根の治療

この状態を放置していると、いずれ歯は内側から崩壊して崩れていきます。歯を残すためには早めに治療を行うことが重要です。必要な治療は、むし歯で柔らかくなった歯の部分を削るなどで取り除き、根の先の膿みをおさめて、歯の根の先端から空洞までの部分の細菌を取り除いて清潔にし、その上で代わりのなるものを詰め込んで細菌が入り込まないようにします。これが根の治療その2「感染根管治療」(むし歯、膿み、細菌を取り除いた後に別のもので詰め物をする)です。

先ほどのその1の治療「抜髄」に比べて、むし歯により歯の強度が弱っていて、細菌に感染している歯の範囲が多くなっていて、治療の条件が悪い状態です。また、一度根の治療をした歯の中が再び細菌に感染し、根の先が再び膿を作って痛みだすことがあります。この場合も「感染根管治療」を行います。再治療は元の歯の厚みが失われていることが多いため、再治療を行うほどに条件が厳しくなっていきます。長く持たせる治療が難しいことが増えますから、可能な限りここまで進む前に食い止める(=早めの治療を受ける)ことが大事です。

抜歯が必要なとき

誰しも歯を抜くのは嫌なものです。

しかし、歯を抜くことが、抜かないよりもメリットがある時は抜歯をお勧めすることになります。

抜歯したほうが良い時とはどのような時でしょうか。

①むし歯がひどく進行して歯ぐき下に歯の根だけが残っている状態

むし歯が進行してしまって、歯の頭(歯冠部)が崩壊してしまっても、根の内側の治療を行って、土台を立てることでかぶせ物をしたり、入れ歯の支えとすることが可能ですが、あまりに崩壊が進みすぎると土台を立てることができなくなり、こうなると汚れのたまり場になってしまい、お口の清潔のためにも抜歯した方が良いことが多いです。

②根の状態が悪く、治療で改善しない

歯の頭の方のむし歯があまり進んでいなくても、歯の根の内側のむし歯が進んでしまい、根の治療で改善しない時があります。この場合、手術で骨に穴をあけて根の先を切り取ってしまう治療法もありますが、抜歯した方が良い場合があります。

③重い歯周病である

むし歯には全くなっていないきれいな歯でも、歯周病が進行してしまうと根を支えている骨が失われ、ちょっとした力で大きく揺れたり、普段から傷や病巣を口の中に抱えているような、常に体に負担の大きい状態が持続してしまいます。歯周病で歯を支える骨を失った場合、一部分だけの骨がなくなったケースを除くと、失った骨を戻すことは残念ながらできないのです。噛む力に抵抗できない程度まで骨の支えがなくなった時は、抜歯した方が良いことも多いのです。

④歯が割れてしまった

根の治療を受けていて、歯の根の厚みが減っていた場合、噛む力が強かった場合などが原因で歯の根が割れたり折れてしまうことがあります。こうなると歯の根の周りには汚れが入り放題になるため、抜歯が必要となります。

⑤仕事をしていない親知らず

歯ぐきに埋まっている親知らずなどで、周囲がはれてしまった時、むし歯になってしまって治療が難しいときは、抜歯が適応となります。親知らずは、必ず抜かなければいけないわけではありません。

抜歯をする前に・・・

歯は抜いてしまうと、もう元には戻せません。原則としては、歯を抜いたところをどのように治療していくか、先生と相談して方針を決めたうえで抜歯をすることが大事です。

歯がなくなった後の対処法

歯をなくしたとき、そのまま何もしないでいると周囲の歯がどんどん悪くなっていく、という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

周囲の歯並びが悪くなったり、単純に周りの歯の負担は歯がなくなった分増えるので一本の歯ごとの負担は重くなります。そうしてどんどん歯をドミノ倒しのように失わないためには、歯をなくしたところを補う治療が必要となります。なくした歯を補う治療(「補綴治療」)には、従来からの方法、新しい方法、といくつか選択肢があります。

歯をなくしたとき、インプラント治療という方法があることは聞いたことがあると思います。インプラント治療には大きな期待と、失敗などの大きな不安が混じっていると思います。

インプラントに向いている、向いていないと言われた、という話を時々耳にします。インプラント治療には長所とともに短所もあり、 リスク、見た目や将来の状況までを考えると、ケースによっては必ずしもインプラント治療が最善の治療とは限らないのです。

歯を失った時、どんな治療法が考えられるのでしょうか。歯をなくしたとき、考えられるそれぞれの治療法の特徴について説明させていただこうと思います。

 

歯の列の途中の一本の歯がなくなったときを例として説明していきます。

natural_teeth_bridge_case_1

なくなった歯を補う方法には、①ブリッジ ②一本の入れ歯 ③インプラント と3つの方法があります。また、④放置 することも方針としてお勧めできる場合もあります。

①ブリッジ

natural_teeth_bridge_case_1 ⇒ natural_teeth_bridge_case_2 ⇒ natural_teeth_bridge_case_3

両隣の歯を土台として橋渡しをするようなかぶせ物を作ってなくなった歯の部分を補います。利点として、噛んだりした時も自分の歯で噛むので違和感が少なく、シビアなケースを除けば見た目も問題になりにくいです。欠点としては、両隣の歯を大きく削り込む必要があるため、両隣の歯が治療もしたことがない健全な歯の場合には、何でもない歯をたくさん削ってしまうことになります。また、3本分の力を2本の歯で支えるので、同じ力がかかった場合には、単純に考えると一本の自分の歯の負担は1.5倍に増えることになります。両隣の歯の負担が増え、それが原因で隣の歯もダメになる危険があります。

②一本の入れ歯

保険で作る場合と保険外で作る場合があります。保険の場合、侵襲も少なく、比較的すぐに完成して使っていただくことができます。また、嫌になったらすぐに取り外せ、外した状態で清掃ができる点が入れ歯の最大の特徴です。欠点は両隣の歯に引っかけるバネが非常に目立ってしまうことです。保険外では、金属のバネの部分を樹脂の材料にかえて、見た目は改善できるものもあります。ただし、どちらの場合でも噛む力としてはブリッジに劣り、両隣の歯に負担をかけてしまう点は変わりません。また、取り外し式であるのが嫌な人には向きません。

③歯科インプラント(人工歯根)

natural_teeth_bridge_case_1 ⇒ single_tooth_tl_2 ⇒ single_tooth_tl_4

この場合は両隣の歯に手を付けずに(周りの歯を削ったりせずに)骨に直接強固に固定された土台が得られる点が大きな魅力ですが、治療期間と回数は他の2つの治療法と比べてかなりかかります。費用も3つの治療の中では一番かかります。また、歯ぐきを切って骨を削るといった、外科的な処置が必須になります。何より、骨の中に人工の歯の土台を埋め込むので、極端に骨が吸収されて少ないような部位などでは、危険の高い選択となってしまいます。それでも、しっかりしたかみ合わせの土台を得るための大きな選択肢といえます。

④放置する(何もしない)場合とは、一番奥の歯(親知らずや第二大臼歯)をなくしたときには選択することも多いのですが、まれに中間の歯がなくなったときにも放置することがあります。通常、放置すると周囲の歯は隙間を埋めるように上下の歯が動いてかみ合わせに悪影響が出るため、放置してはいけないのですが、そのような影響が少ないと考えられるほど隙間が小さかったり、歯の列から大きく外れた歯を抜いたような場合には放置することも考えられるでしょう。

jawbone_1 ⇒ jawbone_2

基本的には上の図のように、ゆっくり時間をかけて歯の移動が通常起こるので、放置はお勧めできません。

1本歯がない場合には特に、いろいろな選択肢が考えられ、状況に応じた一番よい選択を行うのが良いでしょう。いずれにしても、歯がなくなった場合、残った歯に過剰な負担がかからないようにして、それ以上歯をなくすことがないよう管理できることが非常に大事になってきます。どの治療法を選んだとしても、残っている歯を保つ治療になることが大事です。

 

上でご説明したような各治療法の特徴は、なくなった歯の数や場所などによって選択のメリット・デメリットがかなり変わってきます。特にブリッジは選択できない、選択しないほうがいいケースも増えてきます。どのような治療法がご自身に向いているのか、お気軽にご相談いただければと思います。

最後に・・・、歯がなくなったとき、隣り合った歯の面など、清掃のときに気をつけなければいけない場所が増えます。これは意外と盲点で、なくなった歯の隣の歯を早くダメにする原因となります。ブリッジ治療を行った時には橋渡しの下の土台の付け根を歯間ブラシ等で清掃する、入れ歯の場合は入れ歯の接している歯の横の面も忘れずにブラシを当てるなどしてしっかりとお手入れしましょう。なくした歯を補う治療というのは、よく噛めるようになる治療であり、それは残った歯を守るための治療でもあるのです。お口の健康を維持できるよう、しっかり管理していきましょう!

インプラントのお話2 ~メンテナンス~

インプラント治療は 歯を失った所にしっかりした支えを作ってかみ合わせを回復する治療として優れた治療法の一つです。

インプラントの治療が終わると、治療終了となり、ホッとしてしまって歯科から遠のいてしまう人もいらっしゃるかもしれません。

しかしインプラントの治療終了後には、定期的にメンテナンスを受けることがとても重要です。

インプラントは基本的に骨に強固に連結された後は、基本的に動くことはありません。ところが、ご自身の歯が残っている場合、歯は少しずつ動いたり、治療を受けたりすり減ったりなどでかみ合わせが変化することがあります。

その結果、はじめのうちは平気でも、数年後には気づくとインプラントの部分だけ強く噛んでいた・・・ということも起こるのです。もしこのような事態が起きていると、インプラントをダメにしてしまう危険が高いと言えるでしょう。

また、仮にインプラントがダメージを受け、支えている骨がどんどん失われるような事態が起こっていても、当の本人は痛み等を感じにくいのです。何かがおかしい、と違和感に気づいた時にはインプラントが脱落寸前だったりします。

このようなことを防ぐためにも、インプラント治療を受けた後には定期的なメンテナンスが重要なのです。

メンテナンスは、基本的にはインプラント治療を受けた医療機関で行いましょう。インプラント治療に使った材料の種類や、治療時の状況をよく把握しているからです。

インプラント治療を受けたところでメンテナンスを受けられない場合もあるでしょう。こうなると、すでにお口の中に存在するインプラントについて、責任を持った治療というのは難しくなってくるのですが、それでも信頼できる医療機関で継続してメンテナンスを受けるようにするのがよいでしょう。

メンテナンスでは、かみ合わせの異常の有無、上部構造の固定のチェック(ねじが緩んでいたりする)、インプラント周囲の粘膜等の異常の有無、レントゲン写真によるインプラント周囲の骨の状態、等をチェックします。

異常が見つかれば、すぐに対処するようにします。

インプラントを長く使えるようにするか、どううまく管理して使いこなすかは、やはりご自身にかかっているのです。

★歯周病について3 歯周病への対応

歯周病の治療を始めるにあたっては歯周病の進み具合を知る必要があります。歯を支えている骨の高さを知るためにレントゲンの写真で確認したり、細い棒をポケットに入れ込んで実際の骨の高さや歯ぐきの中の腫れ具合を確認したりします。

進行してしまった歯周病の治療はさまざまなものがあります。

しかし、治療の目標として根本的な考え方は、「歯と歯ぐきの間のポケットの歯周病原因菌とその住みかをできるだけ取り除く」「きれいになったポケットが清潔に保ち続けられるようにする」事だと思います。

歯の根っこに付いた歯石や汚れ、歯ぐきの内側のポケットの治りの邪魔になる良くないお肉を取り除きます。場合によってはそのために歯ぐきを切り開いて、よく見える状態で行う場合もあります。

さらに、若い頃に比べて歯を支えてる骨の量も少ないですので、無理な力で残りの骨がダメにならないように、かみ合わせにバランスを持たせることが大事です。

前歯などで、 お隣同士を連結して固定したり、歯が失われたところに入れ歯やインプラント等でかみ合わせを確保します。但し、インプラントを行う場合、周りの歯の歯周病の状態が良くないと、比較的早い時期にインプラントがダメになる可能性が上がります。

健康なお口を維持するためには、最後はご自身のお口のお手入れにかかってくるといえるでしょう。

現代ではお口のケア用品も電動歯ブラシ等をはじめ、さまざまに充実してきています。

うまく利用して、お口の健康に役立てて見てください。

お口のお手入れをどうすればよいのかは、お気軽にご相談下さい!

★歯周病について2

・歯周病の原因?

むし歯も歯周病も、原因は歯についた食べかすなどの汚れにお口の中の菌が繁殖してできた菌の集合した「プラーク」が原因です。

むし歯の原因となる菌と歯周病の原因となる菌は、種類も性質も違います。歯周病の原因菌は、空気に触れないような環境で活動し、歯を支えている構造を徐々に壊していきます。

プラークにカルシウムなどが沈着して石のように硬くなったものが「歯石」です。歯石は硬いので、一度作られてしまうと歯ブラシでは取り除けません。

歯周病の予防のためによく歯石を取り除く処置を行います。なぜでしょうか?

歯石自体が直接何か悪さをするわけではありません。歯石は非常に取り除きにくいので、歯石の周囲にはプラークが付着しやすくなり、さらに空気に触れにくい環境を菌に提供します。

原因の温床を取り除くために、歯石を取り除くことが大事なのです。

歯周病が進行してしまった場合、歯と歯ぐきの境目の溝(「ポケット」)が深くなることが多いです。この時、お口の中を目で見ただけでは、歯ぐきはさほど下がっておらず、十分な歯の支えがあるように見えます。一見するとさして歯は悪くないように感じるかもしれません。実際には内側の骨の支えはだいぶ下がって少なくなっており、外側の歯ぐきが菌に対抗するために腫れあがって壁のように高くなっているだけだったりすることもしばしばあります。深いポケットの中には空気に触れない環境でいっぱいです。このような状態でポケットの中に歯石が存在する場合、歯周病は極めて重い状態と言えるでしょう。歯周病原因菌にとっては、夢のような環境です。

もしも、歯は失っていないが、お口の中全体的に重い歯周病にかかっている場合、なんと手の平ぐらいの大きさの傷口を常にお口の中に負っていることになります。このような状態が体にとってとても良くない状態であることは、想像が付くと思います。

お口の中で全体的に進行した歯周病の治療は、かなり厳しくなります。失われた骨の支えは、治せる場合もありますが、治らない場合も多いです。歯を失った場合に、失う前に比べた生活の質の低下や、歯を失った部分の歯を補う治療(入れ歯や、インプラントです)の費用は大きく付きます。頼みのインプラントも、歯周病が重く進行してしまったケースでは固定するための骨が少なく、困難な症例となることも多いのです。

歯周病は予防がとても大事な生活習慣病であるといえます。歯周病は40代、50代60代・・・と年齢を重ねるごとに進行する傾向があります。今は大丈夫でも・・・定期的なメンテナンスを若いうちから習慣づけることで歯周病予防を管理していくことをお勧めします!

★歯周病について1

◎サイレントディジーズ

歯周病はよく、「サイレントディジーズ」と言われます。

世の中とは不公平なもので、子供のころ、若いころからむし歯に苦しむ人たちがいる一方で、どんなに歯を磨かなくても少しもむし歯にならない人たちが存在します。遺伝や免疫などいくつかの原因は考えられますが、生まれつきむし歯になりにくい人がいるのです。

むし歯になった人は、歯医者で歯をしっかり磨くように言われて、多かれ少なかれ歯を磨く習慣を身につけます。ところがむし歯にならない人は、磨かなくても困らないので、年齢が上がってきても歯を磨く習慣がなかったりします。

このような人は、とくに歯周病に要注意です。歯を磨かなくても若いうちは体の抵抗力も元気なので、遺伝的な問題がなければ重い歯周病となることはほとんどありませんが、年齢が上がるとともに歯周病は徐々に進行していきます。歯医者に行く習慣もなく、痛みもなく、気付いた時には自分の歯が全部揺れていて、歯周病が重く進行してしまっていることがあるのです。それゆえ歯周病は「生活習慣病」であり、また「サイレントディジーズ」、静かに進行する病気といわれるのです。(ただ、世の中やはり不公平で、ごく稀にむし歯にも歯周病にもなりにくい人もいるのですが・・・・・・)

不幸にして歯周病が進行してしまっているとしても、思い立ったが吉日! 気づいた時から歯周病対策を始めていきましょう。

 

★親知らずについて

親知らずとは、前から数えて8番目の歯のことです。

一番奥の奥歯で、第1大臼歯(6歳臼歯)、第2大臼歯(12歳臼歯)の後ろなので第3大臼歯と呼ばれます。口の中に生えてくる時期も10代後半と遅く、親知らずの名前の由来ともなっています。また、親知らず自体がまったく存在しない人もいます。親知らずがあっても口の中に顔を出さないこともあります。親知らずがあるのかないのかはお口全体のレントゲン写真を取ることでわかります。

現代では親知らずが正常に生えて来ない人も多く、また親知らずがなくても、食事がしにくいなどで困ることはありません。

 

・親知らずは抜いたほうがよい?

よく、親知らずを抜いたほうがよいという話を聞きます。なぜでしょうか?

①正常に親知らずが生えている場合

正常に親知らずが生えて、上下でしっかりかんで問題のない場合は、特に親知らずを抜く必要はありません。しかしこの場合でも、親知らずがむし歯になった場合など、一番奥の、物の届きにくい場所のために治療が難しく不確実になるため、抜歯が選択肢となる場合があります。

②親知らずが変な方向に生えている場合

変な方向に生えて、お口の中に頭を出しているような場合、あまり歯本来の仕事はしていないばかりか、親知らず周りのお口の清掃が大変だったりします。清掃がしにくい結果、周りの歯をむし歯にしてしまったり、親知らず自体が痛む(「智歯周囲炎」)になったりします。

この、親知らず自体が痛んだ場合、基本的には薬で症状を抑えることが多いのですが、放置してしまうと心臓の周囲にまで膿が落ち込んでしまう場合があり、命の危険にかかわる事態にまでなってしまう場合があるのです。

そのため、そんなことがないようにあらかじめ抜いてしまったり、一度はれたことがあれば、おさまっているうちに抜歯しておく、という選択肢があるのです。

③親知らずが生えてきていない場合

親知らずがあごの骨の中に埋まっている状態であれば、親知らずが痛むことは考えにくいです。それでも親知らずがいずれ生えてきたり、隣の歯を押すという可能性や、親知らずが骨の中で大きな袋を作る場合があるなどの理由で親知らずを抜いておいたほうがいい、という考えもあります。

 

・親知らずを抜かないほうがいい場合

何かとトラブルの元になるのであれば、親知らずはすべて抜いたほうがいいと考えてしまうかもしれませんが、抜くことがトラブルになることもあるのです。

親知らずの根元付近には血管と神経の管が走っていて、人によってはまれに親知らずの歯の根がその管に触れていたり、はたまた抱え込んでいる場合などがあります。この場合に無理に親知らずを抜いてしまうと、あごのあたりのしびれなどのトラブルになることがあります。

状況によってはそれでも抜いたほうがよい場合もありますので、抜かないほうがいいとは一概には言えませんが、親知らずを抜くと決めた時、どのような危険があるのかを把握したうえで抜いてもらうのがよいでしょう。