インプラントのお話2 ~治療後の定期的なチェック~

インプラント治療は歯を失った所にしっかりした支えを作ってかみ合わせを回復する治療として優れた治療法の一つです。

インプラントの治療が終わると、治療終了となり、ホッとしてしまって歯科から遠のいてしまう人もいらっしゃるかもしれません。

しかしインプラントの治療終了後には、定期的にチェック(メインテナンス)を受けることがとても重要です。

定期チェックを受けないと

インプラントは基本的に骨に強固に連結された後は、基本的に動くことはありません。

ところが、ご自身の歯が残っている場合、歯は少しずつ動いたり、治療を受けたりすり減ったりなどでかみ合わせが変化することがあります。

その結果、はじめのうちは平気でも、数年後には気づくとインプラントの部分だけ強く噛んでいた・・・ということも起こるのです。

もしこのような事態が起きていると、インプラントをダメにしてしまう危険が高いと言えるでしょう。

また、仮にインプラントがダメージを受け、支えている骨がどんどん失われるような事態が起こっていても、当の本人は痛み等を感じにくいのです。

何かがおかしい、と違和感に気づいた時にはインプラントが脱落寸前だったりします。

トラブルを未然に防ぐためにも、インプラント治療を受けた後には定期的なチェックが重要です。

メインテナンスはどこで受けてもいい?

定期的なチェックは、基本的にはインプラント治療を受けた医療機関で行うことが望ましいです。

インプラント治療に使った材料の種類や、治療時の状況をよく把握しているからです。

ですが、様々な理由でインプラント治療を受けたところで定期チェックを受けられない場合もあるでしょう。

こうなると、すでにお口の中に存在するインプラントについて、責任を持ったチェックは難しくなりますが、それでも信頼できる医療機関で継続してチェックを受けるようにするのがよいでしょう。

定期チェックは何をするの?

定期的なチェックでは、セルフケアできちんと清掃ができているか、かみ合わせの異常の有無、上部構造の固定のチェック(ねじが緩んでいたりする)、インプラント周囲の粘膜等の異常の有無、レントゲン写真によるインプラント周囲の骨の状態、等をチェックします。

異常が見つかれば、すぐに対処するようにします。

周囲の歯や、お口の機能・動きと協調できているかどうかが重要です。

診査のポイントが天然の歯と少し変わりますが、定期的なチェックが重要な点は変わりません。

 

手間をかけたインプラントですので、うまく管理して長く使えるよう、定期的なチェックを受けましょう!

★歯周病について3 歯周病への対応

歯周病の治療を始めるにあたっては歯周病の進み具合を知る必要があります。

歯を支えている骨がどの程度あるのかを知る方法として、

 ・レントゲンの写真での骨の状態の確認

 ・細い棒を歯周ポケットに入れ込んで、歯周組織の状態の確認

を行って確認します。歯石を取る際の歯ぐきの反応でもある程度分かります。

進行してしまった歯周病の治療はさまざまなものがあります。

しかし、治療の目標として根本的な考え方は、

「歯と歯ぐきの間のポケットの歯周病原因菌とその住みかをできるだけ取り除く」

「きれいになったポケットが清潔に保ち続けられるようにする」

事だと思います。

さらに、若い頃に比べて歯を支えてる骨の量も少ないですので、無理な力で残りの骨がダメにならないように、かみ合わせにバランスを持たせることが大事です。

歯周病の原因を改善するために

①プラークや歯石の除去

歯の根っこに付いた歯石や汚れ、歯ぐきの内側のポケットの治りの邪魔になる良くないお肉を取り除きます。

場合によってはそのために麻酔の上で歯ぐきを切り開いて、よく見える状態で行う場合もあります。

②過剰な力が一部分に集中しないように

前歯などで、 お隣同士を連結して固定したり、歯が失われたところに入れ歯やブリッジ、インプラント等でかみ合わせを確保します。

噛んだ時の力が、一か所が集中して仕事をせずに、なるべく分散するようにコントロールします。

インプラントを行う場合は、周りの歯の歯周病の状態が良くないと、周囲の歯が動くなどですぐに状況が変化してしまいやすいです。

インプラントやブリッジの治療を行った後に、治療の経過が安定しない原因の一つです。

歯周病が進行している場合は特に、治療の計画にも、治療後の管理にも十分気を付ける必要があります。

③清潔なお口の環境を保つために

健康なお口を維持するためには、最後はご自身のお口のお手入れ(セルフケア)にかかってくるといえるでしょう。

現代ではお口のケア用品も電動歯ブラシ等をはじめ、さまざまに充実してきています。

お口のお手入れをどのような器具でどうすればよいか、わからない方はお気軽にご相談下さい!

歯周病の予防、進行を抑えるには、歯みがきによるセルフケアと、セルフケアで対応できないところを含めた定期的なプロケアを持続することが大事です。

進行した歯周病は治療が困難なことが多いです。

歯周病が進行する前に、予防のセルフケア、定期的な歯のチェックをお勧めします。

★歯周病について2

◎歯周病の原因?

むし歯も歯周病も、原因は歯についた食べかすなどの汚れにお口の中の菌が繁殖してできた菌の集合した「プラーク」が原因です。

むし歯の原因となる菌と歯周病の原因となる菌は、種類も性質も違います。歯周病の原因菌は、空気に触れないような環境で活動し、歯を支えている構造を徐々に壊していきます。

プラークにカルシウムなどが沈着して石のように硬くなったものが「歯石」です。歯石は硬いので、一度作られてしまうと歯ブラシでは取り除けません。

◎歯石を取る理由

歯周病の予防のためによく歯石を取り除く処置を行います。なぜでしょうか?

歯石自体が直接何か悪さをするわけではありません。歯石は非常に取り除きにくいので、歯石の周囲にはプラークが付着しやすくなり、さらに空気に触れにくい環境を菌に提供します。

原因の温床を取り除くために、歯石を取り除くことが大事なのです。

◎歯周病の進行と歯石の関係

歯周病が進行してしまった場合、歯と歯ぐきの境目の溝(「ポケット」)が深くなることが多いです。この時、お口の中を目で見ただけでは、歯ぐきはさほど下がっておらず、十分な歯の支えがあるように見えます。一見するとさして歯は悪くないように感じるかもしれません。実際には内側の骨の支えはだいぶ下がって少なくなっており、外側の歯ぐきが菌に対抗するために腫れあがって壁のように高くなっているだけだったりすることもしばしばあります。深いポケットの中には空気に触れない環境でいっぱいです。このような状態でポケットの中に歯石が存在する場合、歯周病は極めて危険な状態と言えるでしょう。歯周病原因菌にとっては、夢のような環境です。

◎歯周病が進行したときの“傷口”

もしも、歯は失っていないが、お口の中全体的に重い歯周病にかかっている場合、なんと常にお口の中に手の平ぐらいの大きさの傷口を負っていることになります。このような状態が体にとって良くない状態であることは、なんとなく想像できるのではないかと思います。

◎進行した歯周病の治療

お口の中で全体的に進行した歯周病の治療は、かなり厳しくなります。失われた骨の支えは、治せる場合もありますが、治らない場合も多いです。歯を失った場合に、失う前に比べた生活の質の低下や、歯を失った部分の歯を補う治療(入れ歯や、インプラントです)の費用は大きく付きます。頼みのインプラントも、歯周病が重く進行してしまったケースでは固定するための骨が少なく、困難な症例となることも多いのです。

歯周病は予防がとても大事な生活習慣病であるといえます。歯周病は40代、50代60代・・・と年齢を重ねるごとに進行する傾向があります。今は大丈夫でも・・・定期的なメンテナンスを若いうちから習慣づけることで歯周病予防を管理していくことをお勧めします!