★歯周病について3 歯周病への対応

歯周病の治療を始めるにあたっては歯周病の進み具合を知る必要があります。

歯を支えている骨がどの程度あるのかを知る方法として、

 ・レントゲンの写真での骨の状態の確認

 ・細い棒を歯周ポケットに入れ込んで、歯周組織の状態の確認

を行って確認します。歯石を取る際の歯ぐきの反応でもある程度分かります。

進行してしまった歯周病の治療はさまざまなものがあります。

しかし、治療の目標として根本的な考え方は、

「歯と歯ぐきの間のポケットの歯周病原因菌とその住みかをできるだけ取り除く」

「きれいになったポケットが清潔に保ち続けられるようにする」

事だと思います。

さらに、若い頃に比べて歯を支えてる骨の量も少ないですので、無理な力で残りの骨がダメにならないように、かみ合わせにバランスを持たせることが大事です。

歯周病の原因を改善するために

①プラークや歯石の除去

歯の根っこに付いた歯石や汚れ、歯ぐきの内側のポケットの治りの邪魔になる良くないお肉を取り除きます。

場合によってはそのために麻酔の上で歯ぐきを切り開いて、よく見える状態で行う場合もあります。

②過剰な力が一部分に集中しないように

前歯などで、 お隣同士を連結して固定したり、歯が失われたところに入れ歯やブリッジ、インプラント等でかみ合わせを確保します。

噛んだ時の力が、一か所が集中して仕事をせずに、なるべく分散するようにコントロールします。

インプラントを行う場合は、周りの歯の歯周病の状態が良くないと、周囲の歯が動くなどですぐに状況が変化してしまいやすいです。

インプラントやブリッジの治療を行った後に、治療の経過が安定しない原因の一つです。

歯周病が進行している場合は特に、治療の計画にも、治療後の管理にも十分気を付ける必要があります。

③清潔なお口の環境を保つために

健康なお口を維持するためには、最後はご自身のお口のお手入れ(セルフケア)にかかってくるといえるでしょう。

現代ではお口のケア用品も電動歯ブラシ等をはじめ、さまざまに充実してきています。

お口のお手入れをどのような器具でどうすればよいか、わからない方はお気軽にご相談下さい!

歯周病の予防、進行を抑えるには、歯みがきによるセルフケアと、セルフケアで対応できないところを含めた定期的なプロケアを持続することが大事です。

進行した歯周病は治療が困難なことが多いです。

歯周病が進行する前に、予防のセルフケア、定期的な歯のチェックをお勧めします。

★歯周病について2

◎歯周病の原因?

むし歯も歯周病も、原因は歯についた食べかすなどの汚れにお口の中の菌が繁殖してできた菌の集合した「プラーク」が原因です。

むし歯の原因となる菌と歯周病の原因となる菌は、種類も性質も違います。歯周病の原因菌は、空気に触れないような環境で活動し、歯を支えている構造を徐々に壊していきます。

プラークにカルシウムなどが沈着して石のように硬くなったものが「歯石」です。歯石は硬いので、一度作られてしまうと歯ブラシでは取り除けません。

◎歯石を取る理由

歯周病の予防のためによく歯石を取り除く処置を行います。なぜでしょうか?

歯石自体が直接何か悪さをするわけではありません。歯石は非常に取り除きにくいので、歯石の周囲にはプラークが付着しやすくなり、さらに空気に触れにくい環境を菌に提供します。

原因の温床を取り除くために、歯石を取り除くことが大事なのです。

◎歯周病の進行と歯石の関係

歯周病が進行してしまった場合、歯と歯ぐきの境目の溝(「ポケット」)が深くなることが多いです。この時、お口の中を目で見ただけでは、歯ぐきはさほど下がっておらず、十分な歯の支えがあるように見えます。一見するとさして歯は悪くないように感じるかもしれません。実際には内側の骨の支えはだいぶ下がって少なくなっており、外側の歯ぐきが菌に対抗するために腫れあがって壁のように高くなっているだけだったりすることもしばしばあります。深いポケットの中には空気に触れない環境でいっぱいです。このような状態でポケットの中に歯石が存在する場合、歯周病は極めて危険な状態と言えるでしょう。歯周病原因菌にとっては、夢のような環境です。

◎歯周病が進行したときの“傷口”

もしも、歯は失っていないが、お口の中全体的に重い歯周病にかかっている場合、なんと常にお口の中に手の平ぐらいの大きさの傷口を負っていることになります。このような状態が体にとって良くない状態であることは、なんとなく想像できるのではないかと思います。

◎進行した歯周病の治療

お口の中で全体的に進行した歯周病の治療は、かなり厳しくなります。失われた骨の支えは、治せる場合もありますが、治らない場合も多いです。歯を失った場合に、失う前に比べた生活の質の低下や、歯を失った部分の歯を補う治療(入れ歯や、インプラントです)の費用は大きく付きます。頼みのインプラントも、歯周病が重く進行してしまったケースでは固定するための骨が少なく、困難な症例となることも多いのです。

歯周病は予防がとても大事な生活習慣病であるといえます。歯周病は40代、50代60代・・・と年齢を重ねるごとに進行する傾向があります。今は大丈夫でも・・・定期的なメンテナンスを若いうちから習慣づけることで歯周病予防を管理していくことをお勧めします!

★歯周病について1

◎サイレントディジーズ

歯周病はよく、「サイレントディジーズ」と言われます。

子供のころや若いときからむし歯になった人は、歯医者で歯をしっかり磨くように言われて、多かれ少なかれ歯を磨く習慣を身につけます。

世の中とは不公平なもので、子供のころ、若いころからむし歯に苦しむ人たちがいる一方で、どんなに歯を磨かなくても少しもむし歯にならない人たちが存在します。遺伝や免疫などいくつかの原因は考えられますが、生まれつきむし歯になりにくい人がいるのです。このような方は、歯は硬く、ほとんどすり減ってこないことが多いです。

むし歯にならない人は、磨かなくても困らないので、年齢が上がってきても歯を磨く習慣がなかったりします。このような人は、とくに歯周病に要注意です。

歯を磨かなくても若いうちは体の抵抗力も元気なので、遺伝的な問題がなければ重い歯周病となることはほとんどありませんが、年齢が上がるとともに歯周病は徐々に進行していきます。歯医者に行く習慣もなく、痛みもなく、気付いた時には自分の歯が全部揺れていて、歯周病が重く進行してしまっていることがあるのです。それゆえ歯周病は「生活習慣病」であり、また「サイレントディジーズ」、静かに進行する病気といわれるのです。(ただ、世の中やはり不公平で、ごく稀にむし歯にも歯周病にもなりにくい人もいるのですが・・・・・・)

不幸にして歯周病が進行してしまっているとしても、思い立ったが吉日! 気づいた時から歯周病対策を始めていきましょう。

★親知らずについて

親知らずとは、前から数えて8番目の歯のことです。

一番奥の奥歯で、第1大臼歯(6歳臼歯)、第2大臼歯(12歳臼歯)の後ろなので第3大臼歯と呼ばれます。口の中に生えてくる時期も10代後半と遅く、親知らずの名前の由来ともなっています。また、親知らず自体がまったく存在しない人もいます。親知らずがあっても口の中に顔を出さないこともあります。親知らずがあるのかないのかはお口全体のレントゲン写真を取ることでわかります。

現代では親知らずが正常に生えて来ない人も多く、また親知らずがなくても、食事がしにくいなどで困ることはあまりありません。

◎親知らずは抜いたほうがよい?

よく、親知らずを抜いたほうがよいという話を聞きます。なぜでしょうか?

①正常に親知らずが生えている場合

正常に親知らずが生えて、上下でしっかりかんで問題のない場合は、特に親知らずを抜く必要はありません。しかしこの場合でも、親知らずがむし歯になった場合など、一番奥の、物の届きにくい場所のために治療が難しく不確実になるため、抜歯が選択肢となる場合があります。奥まっているために、うまく清掃ができずに不潔となり、親知らずだけむし歯が進むケースもよくあります。

②親知らずが変な方向に生えている場合

変な方向に生えて、お口の中に頭を出しているような場合、あまり歯本来の仕事はしていないばかりか、親知らず周りのお口の清掃が大変だったりします。清掃がしにくい結果、周りの歯をむし歯にしてしまったり、親知らず自体が痛む(「智歯周囲炎」)になったりします。

この、親知らず自体が痛んだ場合、基本的には薬で症状を抑えることが多いのですが、放置してしまうと心臓の周囲にまで膿が落ち込んでしまう場合があり、こうなると命の危険にかかわる事態にまでなってしまいかねません。

そのため、そんなことがないようにあらかじめ抜いてしまったり、一度はれたことがあれば、おさまっているうちに抜歯しておく、という選択肢があるのです。まれに、忙しい肝心な時にものすごい腫れ上がる、というケースがあります。そのため、「就職で忙しくなる前に・・・」「仕事が忙しくなる前に・・・」「妊娠・出産などの予定の前に・・・」と、時間ができた段階で抜歯をお勧めすることがあります。

③親知らずが生えてきていない場合

親知らずがあごの骨の中に埋まっている状態であれば、親知らずが痛むことは考えにくいです。それでも親知らずがいずれ生えてきたり、隣の歯を押すという可能性や、親知らずが骨の中で大きな袋を作る場合があるなどの理由で親知らずを抜いておいたほうがいい、という考えもあります。

◎親知らずを抜かないほうがいい場合

何かとトラブルの元になるのであれば、親知らずはすべて抜いたほうがいいと考えてしまうかもしれませんが、抜くことがトラブルになることもあるのです。

親知らずの根元付近には血管と神経の管が走っていて、人によってはまれに親知らずの歯の根がその管に触れていたり、はたまた抱え込んでいる場合などがあります。この場合に無理に親知らずを抜いてしまうと、あごのあたりのしびれなどのトラブルになることがあります。

状況によってはそれでも抜いたほうがよい場合もありますので、抜かないほうがいいとは一概には言えませんが、親知らずを抜くと決めた時、どのような危険があるのかを把握したうえで抜いてもらうのがよいでしょう。

インプラントのお話

インプラントに興味のある方、心配のある方がいらっしゃると思います。歯科インプラント治療とはどういうものか、ご紹介してみようと思います。

デンタルインプラント治療は世界的に行われている治療法で、歯のないところをかめるようにする「補綴治療」の手段として非常に有効な治療法です。

世の中には様々な考え方があるため、歯科の先生によっては考え方が違ってくることも出てくるであろう点をご了承ください。

<どういう治療?>

歯のなくなったところに人工の土台を骨に植え込み、人工の歯の支えとする治療法です。

土台とするインプラントの形態は、さまざまなものが考案され、そして多くのものが消えてゆきました。現在インプラント治療で使用されているものは、歯の根の形にねじ切りがついたような「人工歯根タイプ」がほとんどです。

土台のインプラントの材質にもさまざまなものが使われましたが、現在使われているものは「チタン」「チタン合金」が多いです。

現代のインプラント治療は、チタンを骨内に埋め込んでも、体が拒否反応を示すことなく、チタンに密接して骨が治癒する現象(「オッセオインテグレーション」と呼んでいます)を利用しているものが多いです。

その他、セラミックスの材質のものや、チタンのインプラントの表面が骨との親和性の高い材料で膜状に覆われているものもあります。

<元の自分の歯とはどこが違うの?>

天然の歯も、インプラントも、骨に支えられて植わっている点は 変わりません。天然の歯は骨との間に軟らかい線維質の「歯根膜」というものが存在します。そのため、歯はかみ合わせると少し沈むのです。一方、インプラントは骨との間に歯根膜のようなものがなく、直接骨に接しています。そのため、インプラントはかみ合わせた時もほとんど沈みません。

また、歯根膜にはかむ力が加わったときに感じる神経が存在します。そのため、かみ合わせると「今、私はかんでいる」と感じることができます。一方、インプラントはそのような神経がないため、かんでいることを感じるのは周りの自分の歯か、かみ合わせている向かいの歯で感じます。歯が全くない場合でも、あごの関節や噛む筋肉などで感じることができます。

かんだ時の動き方や感じ方が元の歯とは違っているのです。

<どんな種類があるの?>

インプラントというと元の歯に似せて人工の歯を作るイメージが強いかもしれません。実際にはそのような使い方以外にも、取り外しのできる入れ歯の支えに使う場合もあります。状況に応じて、より良い上物を選択することが大事です。

<治療期間?>

インプラントの治療は他の歯の治療と比べると長い時間が必要になります。なぜならインプラントが骨の支えを得るためには、インプラント周りの骨が壊されて新しく作り変えられる必要があり、この「代謝」は徐々に進んでいくためです。人間の体の骨は半年で中身がすべて入れ替わっている、という話があります。そのくらいのスピードで、人間の体の骨は壊されると同時に徐々に新しく作り直されているのです。

近年では、インプラント治療の進歩とともに、条件はありますがさまざまな工夫により即日でインプラント上部の人工の歯を作る治療法も出てきました。ですが、インプラントが骨に固定されるしくみは変わるわけではないのです。

<費用?>

インプラントは、ガンなどの理由であごの骨を切り取ってしまったのちに再建した場合など、ごく限られた場合を除けば保険がききません。そのため基本的に自費の治療となってしまいます。また、きちんとした治療を行うためにはどうしても手間がかかるため、インプラント治療は高額となることが多いのです。(参考:当院では1歯473000円です。歯数が増えると1歯あたりの費用は下がります)

文章ばかりになってしまいましたが、すこしでもインプラント治療のイメージのお役に立てれば幸いです。

最後に…どんな病気でも同じなのですが、治すのは最後はご自身の元気と意識にかかってくるのです。

入れ歯

◎入れ歯の役割

入れ歯は、歯がなくなった時に歯の代用物としてお口の中に入れて、噛むことや発音に重要な役割を果たします。また、きれいな白い歯を入れたり、唇を内側から膨らませるように支えて、顔貌を若々しく見せるという大事な役割もあります。

現代では、インプラントを用いた治療法が広まり、入れ歯を用いなくても噛める治療が出来るようになりました。ですが、費用の面でインプラントが難しい場合や、身体の健康上の理由などで取り外しができる方が良い場合など、まだまだ入れ歯は医療の上で欠かすことのできない存在です。

◎入れ歯の手入れは大事?

必ず、1日1回は、お口からはずして入れ歯を磨きましょう。その時は、ブラシに歯磨きペーストは付けずに、お水を流しながら磨きましょう。その後、入れ歯洗浄剤に浸けることもお薦めです。磨かないでおくと入れ歯の表面は、細菌やカンジダ菌というカビの1種が増殖して不潔になります。また、入れ歯に接している自分の歯は非常に汚れがたまりやすいので、残っている自分の歯の歯磨きもとても大事です。

◎様々な入れ歯の種類について

入れ歯は、食事中にはずれたり、人とお話し中に落ちてきたりしないように、ピチッとお口の中に収まるように工夫されています。保険の入れ歯は、通常、残っている自分の歯にバネをかけて支えます。自費の入れ歯では、バネを見えにくくしたりバネ以外の仕組みではずれないようにしたり、入れ歯らしく見えないように工夫することができます。

自費の入れ歯の種類を少しご紹介します。なお、お勧めできる方法はお口の中の状況によって変化しますので、どのような方法が適するのかは、直接ご相談下さい。

・金属でできた入れ歯(金属床義歯)

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入れ歯のフレーム(骨組み)を金属で作成し、その上にプラスティックを介して人工の歯を並べた入れ歯です。骨組みが金属のため、薄く作ることが可能で、変形や破損が起こりにくいのが特徴です。作成には手間と費用がかかるため、保険診療では行えず自費診療となりますが、保険診療に比べて使用できるバネの種類もバリエーションが増えて、入れ歯の設計にさまざまな工夫を加えることができます。

・入れ歯がはずれない工夫(アタッチメント義歯)

入れ歯の動きを抑える目的で、ご自身の残っている歯や人工歯根(インプラント)に入れ歯を固定するための装置を取り付ける方法があります。磁石を利用したもの、装置にはめ込むタイプのもの、棒状の土台に固定していくもの、またこれらを組み合わせたものなど、いくつかの方法があり、ケースに応じてご提案できる場合があります。

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上の写真の例は、ご自身の残っている歯の根を磁石の固定先として利用しています。

◎入れ歯が合わなくなったら

長く入れ歯を使い続けていると、入れ歯の噛む面はだんだんとすり減っていきます。すり減る速度には個人差がありますが、短い人だと半年でトラブルを抱えて調整が必要となってくることがあります。

また、年々入れ歯を支えるあごの土手は少しずつ形を変え、入れ歯を作った当初はピッタリだったものが、気付くと合っていなかったりするものです。合わない入れ歯をそのまま使っていると、入れ歯が動いて土手がこすれて痛くなったり、噛んだとき残っている自分の歯にとても強い負担がかかって駄目にしてしまうことがあります。

こういったトラブルが起こる前に、新しい入れ歯に作り直したり、すり減ったところや形の合わないところを修理する必要があります。ちょっとおかしいな?と思ったら、すぐに歯科医院で入れ歯をチェックしましょう!

むし歯のお話

◎むし歯のできるまで

お口の中には様々な菌が生息しています。

お口の中に菌がいることで、私達は様々なバイ菌の感染から身を守られています。

ですが、むし歯や歯周病の原因となる菌も、やはりお口の中に存在します。

私達が普段栄養としている糖類(特に「砂糖」)。

これは、ミュータンス菌にとって格好の食材です。

彼らは砂糖を分解して不溶性グルカンを産生します。

これは、水に溶けず、ねばねばした性質を持ちます。

この白いネバネバに囲まれ、自分たちのねぐらを作り上げます。

その中で他の菌とともに糖類を分解して生活します。

このとき、副産物として酸を産生します。

この酸が歯を溶かしてゆきます。

歯は少し溶けたくらいなら、私達は唾液成分で歯を修復できます。

ですが、ねばねばした「歯こう(プラーク)」のような形で同じところにずっとたまると、歯は唾液成分では治せないほど溶かされてしまいます。

この状態が「むし歯」です。

◎むし歯になるとなぜ痛い?

歯の構造は以下のような3層構造です。

①歯の痛みを感じる神経線維がある「歯髄」
(歯の管理人と言える象牙芽細胞があります)

②歯髄の外側の「象牙質」

③象牙質のさらに外側の歯が白く見える部分の「エナメル質」
(歯の根の方にはエナメル質はなく、「セメント質」があります)

エナメル質は非常に硬く、むし歯の進行は遅いです。

鎧のように、歯の内側への痛み刺激を遮断します。

このエナメル質が貫通するほどにむし歯が進行すると、象牙質に至ります。

象牙質には細い管が無数に歯髄から伸びています。

象牙質がむし歯になると、その管から刺激が歯髄に伝わります。

この刺激に対する信号により、脳は「痛い」と感じるようになります。

◎むし歯になったらどうする?

むし歯菌に居つかれると、周りを酸によって軟らかく溶かされてしまいます。

軟らかくなった歯の部分はもう元には戻りません。

ただむし歯原因菌の温床となるだけです。

むし歯の治療は、基本的にこの軟らかい部分を取り除くところから始まります。

むし歯で失われた歯の部分の大きさや形態によって、詰め物被せ物の形・材質を決定します。

詰め物や被せ物によって歯もかめるようになり、残った歯の部分や他の歯も守られます。

むし歯の治療は怖いですが、放っておくとどんどん悪くなる一方(=削る量も多い!)です。

早目の治療を心がけましょう!

ずっと放っておいてしまうと、歯の根っこのみになってしまいます。

軟らかい部分が多くなり、噛むのに使えないことが多いです。

こうなると抜歯になってしまいます。

◎根の治療とは?

むし歯が進行して象牙質を抜けると、歯の中心の歯髄まで達します。

いわゆる「歯の神経」に直接刺激が伝わりものすごく痛みます。

ですが、しばらく放置すると痛みを感じなくなります。

それは歯髄の細胞が死んだ状態なのです。

歯の内側全体にむし歯菌の感染が広がりつつある危険な状態です。

時間の経過とともに「噛むと痛い」症状が出てきます。

上記のような状態になると歯の根の治療が必要です。

歯の内側の非常に狭い空間の汚れを取り除きます。

最後にすき間のないように根の中に詰め物をします。

こうして、根の中に出来るだけ菌が残らないようにします。

他にも予防的、便宜的に歯の根の治療が必要な場合があります。

◎むし歯治療の後に気をつけること

むし歯の治療後は、治療の境目に再度むし歯を作りやすいです。

元々汚れが残りやすい為にむし歯になっています。

そこが弱点で又むし歯を作る可能性は高いです。

自分の弱点だと自覚して清掃に気を付けましょう。

また、歯の根まで治療した歯は、元の歯に比べると弱っているとよく言われます。

治療していない歯に比べると、歯の強度は落ちています。

そのうちに根っこが割れてしまうこともよくあります。

むし歯で軟らかくなった歯は元には戻りませんから、大事に手入れをして無理をせず使っていきましょう。

◎むし歯ではないけど痛い、しみるのは?

年齢とともに歯ぐきが少しずつ下がってくる方は多いです。

歯ぐきが下がると、歯の根元の象牙質が露出します。

ここに風や冷水などの刺激が加わるとむし歯と似た原理で痛みを感じます。

いわゆる「知覚過敏」です。

特効薬はありませんが、対処法はありますので、お悩みの方は一度ご相談下さい。

口腔ケアのお話

・歯の清掃をする上での注意点!

歯は出っ張っているところは磨きやすいです。

磨き残しやすい場所【3大不潔域】がしっかり磨けるかどうかがポイントです。

【3大不潔域】

 1.歯と歯の隣接面

 2.歯と歯茎の境い目

 3.歯の噛み合わせの溝

この場所を意識して磨きましょう。

むし歯や歯周病予防に、お口の清潔を保つ上で、歯磨きは基本中の基本です。

しっかりと身につけて、お口の悩みとおさらばしましょう。

 

・歯ブラシの選び方

歯ブラシにもさまざまなデザインのものがあります。

基本的に、ご自身の使いやすいものを選んで構わないと思います。

お勧めできる歯ブラシの選び方の基本的なポイントは・・・

・植毛部はごく普通の形のもの

・上の前歯2本分程度の幅の植毛サイズ

・毛の硬さは「ふつう」

「しみる」「歯周病が進行」などでお勧めできる歯ブラシは変わります。

わからない点はお気軽におたずねください!

 

・歯ブラシの交換時期brush_name

歯磨きで大事なのは、「つま先」「かかと」「毛の脇腹」です。

新品時に比べて毛がケバケバしてきたら、交換時期。

大事な部分が使えず、磨き残している可能性大です。

早めに歯ブラシを買い替え、交換しましょう。

 

・歯ブラシの持ち方

pen_grip

歯ブラシの持ち方は、「鉛筆持ち」が主流です。

・小回りが利きやすい

・いろいろな方向に向けられる

・力の加減がしやすい

といった点が利点です。

歯ブラシには時代とともに色々な磨き方があります。

きちんと磨けていれば磨き方を変える必要はありません。

ですが、うまく磨けないときは「鉛筆持ち」がおすすめです!

 

・歯ブラシの当て方

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一般的な磨き方の「スクラビング法」を紹介します。

基本は歯の面に対して垂直に毛先を当てます。

そして、歯ブラシを柄の方向に細かく動かして磨きます。

歯と歯ぐきの境い目のところまでしっかり磨きましょう。

この時、「つま先」「かかと」「毛の脇腹」を使って、

【3大不潔域】

 1.歯と歯の隣接面

 2.歯と歯茎の境い目

 3.歯の噛み合わせの溝

をかき出すのがポイントです。

歯の内側(舌側)の面も基本的に同じです。

その時も、歯と歯ぐきの境い目をしっかり磨くことを意識します。

 

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前歯の裏側など、横には磨きづらいところ、でこぼこしているところなどは、歯ブラシ自体を縦に当て、縦に磨いてみましょう。

 

・歯ブラシの動かし方

「力は いりません」

歯を磨くとき、面倒くさいのでつい力が入りがちになりませんか?

歯を磨くときの力は200g程度が良いと言われます。

これは意外と小さな力です。

また、歯ブラシを左右に動かすストロークは小さくします。

歯ブラシの届きにくい、凹みにブラシが入ってゆくからです。

一撃の力よりも、数で稼ぐ磨き方をしてみてください。

時間はかかっても、汚れが落ちたことを実感できると思います。

 

・歯を磨く順序

磨き忘れしない為に「一筆書き」をお勧めします。

例えば上の歯の奥歯の端の外側から磨き始めます。

そのまま連続的に前歯を通り、又奥歯へ向かいます。

端までいったら今度はそのまま内側を磨き始めます。

前歯を通り、奥歯へ向かい、端まで磨きます。

今度はかみ合わせの面を再び端から磨き始めます。

こうすると磨き忘れがないので、お薦めです!

 

・歯磨き粉(歯磨剤)

歯磨剤は、様々な種類があります。

発泡剤、殺菌剤、研磨剤など様々な成分が配合されています。

多くの歯磨き粉に含まれる大事な成分に「フッ素」があります。

「フッ素」は初期のむし歯の修復、むし歯予防に重要です。

なるべくフッ素入りの歯磨剤を使用しましょう。

歯磨剤の清涼感による磨き残しには注意です。

 

・デンタルフロス(糸ようじ)

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お隣の歯同士が接しているところは歯ブラシが当てられません。

この部分はむし歯の好発部位です。

むし歯になりやすい方は特に汚れを落としておきたいものです。

また歯の間に汚れを持続的にためると、歯周病を進めてしまいます。

この部分の汚れを落とす用具が糸ようじ【デンタルフロス】です。

海外では、”Floss or die”(” フロスかさもなければ死か ”)などと言われます。

むし歯、歯周病対策のどちらにおいても糸ようじは重要です。

何でもそうですが、使い始めてから慣れるまで時間がかかります。

初めての方は、根気よく練習してみてください。

 

・歯間ブラシ

ブリッジ(歯がない所を補う治療)を行った場合に使います。

ブリッジの土台の内側には歯ブラシや糸ようじを使えません。

この様なところには歯間ブラシを使って下さい。

歯周病が進んで、歯の間の下のすき間が大きい場合にも使います。

いずれの場合も、あまり無理をしないようにしましょう。

入りにくい場合は、無理に突っ込む必要はありません。

 

・口腔含そう剤(コンクールF®

歯みがき後の含そう(薬剤でお口の中をすすぐ)は効果があります。

当院では特にコンクールF®をお勧めしています。

(歯周病原因菌に効果的な成分があるためです)

紫斑のうがい薬も十分に効果があります。

必ず、「歯みがき後」に行うようにしてください。

※ややこしいのですが「デンタルリンス」の類は、目的が違います。

歯みがき粉(歯磨剤)の類なので、歯みがき前に使用します。

 

・スーパーフロス

一定の長さの糸の一部分が、スポンジ状に太くなっているものです。

ブリッジの下側など、通常だと清掃できない場所を効率よく清掃できます。


以上が、お口のお掃除の大まかな説明です。

セルフケアができるはお口の健康に非常に有利です。しかし、

  • 清掃の出来には個人差・限界がある

  • 清掃の効果にも個人差・限界がある

  • 個人では清掃ができているかどうか、判断に限界がある

などの理由から、定期的に健診【プロケア】を受けることをお勧めします。

健康なお口を維持して、いつまでも若々しく!